外務省、在インド邦人に帰国検討要請へ。一方中国は早速ワクチン外交を展開中。

外務省、在インド邦人に帰国検討要請へ。一方中国は早速ワクチン外交を展開中。

外務省はインド邦人に対して一時帰国も含めた警戒情報を出しました。

状況の推移に注意し、一時帰国を含めて検討するよう要請。既に検討している場合は出国に向けた手続きを速やかに行うことを促した。医療提供体制が逼迫（ひっぱく）し、通常の医療が受けられない可能性が高まっているためという。

インドでは1日40万人を超える感染爆発が起きており、世界最多記録を不名誉ながら更新中です。
医療はすでに崩壊しており、通常医療もままならない状態が続いています。

街なかの空き地では臨時の火葬場が設けられ、まるで爆撃を受けたような状況が広がっている、
と報道されています。
「もう空きがない」 駐車場が火葬場に…感染爆発のインド　写真8枚　国際ニュース：AFPBB News

途切れぬ炎、逼迫する火葬場 インド (ＡＦＰ＝時事) – Yahoo!ニュース

医療用の酸素も枯渇し、コロナ患者の入院が出来ない状態が続いています。
日本政府は人道的支援ということで酸素濃縮器300台及び人工呼吸器300台を供与すること、
東証一部上場企業のエア・ウォーターがインドでの酸素生産を5割増しで進めることが報道されています。

なお、在留邦人数は10,294人（2019年10月）（外務省海外在留邦人数調査統計）であり、
これらの方々が一斉に帰国することはまぁありえないでしょうが、何割かが帰国すると、
またインド株が国内で一気にまん延する可能性がありますので、
防疫と隔離処置はちゃんと行って欲しいところ。

インド基礎データ｜外務省

とは言え、進出日系企業数は2008年以降激増しており、企業数は1454社（在インド日本国大使館調査）。
自分探しの旅でバックパッカーする若者だけでなく、当然会社の命令でインドに行っているサラリーマンも多いわけです。
医療関係者も当然のことながらかなりの数が現地で活躍されていたかと。

当地で活躍する日本人の母国として、我が国側の受け入れ体制の整備も求められますね。

一方中国は「支援してやらんでもないぞ」

一方、中国側はインドの非常事態に対して、支援の意思を表明しているそうです。

中国の習近平国家主席は３０日、新型コロナウイルスの感染が拡大するインドのモディ首相に見舞いのメッセージを送り、「中国はインドと防疫協力を強化し、インドに支援や援助を提供したい」と述べた。

中国主席、インド支援に意欲　コロナ禍で見舞い電：時事ドットコム

もちろん、これは外交戦略の一環で、タダより怖いものはない、ということわざを的確に表現する状況です。

インドへの支援を公に表明することで、インド人民の反中感情を抑え、
おそらく支援を受けないであろうインド政府への反感を芽生えさせ、
敵国を内側から崩壊させる切り崩し戦略です。

仮にインドのウイルス蔓延が更に深刻化したら「ほーら、中国の支援を早く受ければよかったじゃないか」
と習近平国家主席は発言することが出来ますし、仮にインドが沈静化出来たならば、
「早期に我が国の支援を受け入れれば、徒にインド国民を死に至らしめることは無かった。
インド史上最悪の愚策だったな。インド人が攻撃すべきは自国の政府だぞ。」という事が出来ます。

中国側はインド人に対して電子レンジ攻撃（後にフェイクである可能性が高まる）を行っておいて
よく言うぜ・・・と思いますよ。
中国、マイクロ波兵器使用か　インド軍否定：時事ドットコム

ワクチンはすでに外交上の戦略兵器となっており、他国、特に敵国の支援を簡単に受けることは出来ません。
出来ませんが、インドがワクチンや医療的支援が喉から手が出るほど欲しいのも事実。

日米豪印のクアッドによる「中国包囲網」が実効的体制を得るためにも、
日本側は積極的にインドを支援して欲しいところですね。

ただ、日本側も医療物資が潤沢にあるわけでもないでしょうし、今後の枯渇が見込まれますから、
監督省庁は早めに企業に対して増産依頼や支援体制を強化して欲しいところです。