総務省、携帯5社に転売ヤー対策を求め、行き過ぎた値引きの是正や端末単体での販売に応じるよう、行政指導を実施。

2022年9月28日

総務省はNTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイルの5社に対して、
次の行政指導を行いました。

・端末割引の上限2万円（税込み2万2000円）を超える値引きが見られた。是正すること。
・端末の単体購入の販売拒否が見られた。是正すること。
・店頭のポスターで、単体購入と回線セット販売で、字の大きさ等に差異を設けずに
併記すること。
・販売代理店等及びスタッフ一人一人に対する教育・研修・指導を徹底・強化すること。
・端末購入プログラムについて、回線契約が必須ではないことを確実に説明すること。

転売ヤーも槍玉に挙げる。

なお、総務省は各社に対して実行力のある転売ヤー対策も実施するよう、指導しています。

３．いわゆる「転売ヤー」に関する取組
報告書 2022 において指摘がなされているとおり、端末が安く購入できること自体は
利用者にとって望ましいことである一方で、端末の大幅な安値販売が不用意な
形で行われることにより、結果としていわゆる「転売ヤー」の活動を助長し、
真の利用者が端末を購入できない等の問題が生じていることは、事業法の目的である
電気通信の健全な発達の観点のほか、社会的な観点からも望ましいものではない。

今後も貴社及び貴社の販売代理店等の判断において、端末の大幅な安値販売を
実施するのであれば、事業法第 27 条の３の規律の趣旨に反する端末単体販売拒否等が
行われないようにした上で、報告書 2022 に記載された具体例等を踏まえ、
貴社において実効性のある「転売ヤー」対策を実施すること。

また、報告書 2022 において、乗換え利用者の獲得件数を不適切な形で増やしている例が
ある旨の指摘がなされているところ、こうした行為は他事業者の短期解約者を
不必要に増やす等モバイル市場全体に弊害をもたらすものと考えられることから、
こうした不適切な形での乗換えを生まないような対策についても併せて実施すること。
総務省｜報道資料｜電気通信事業法の一部を改正する法律の趣旨等に沿った公正な競争環境の確保に向けた取組についての要請

総務省が定義する転売ヤーとは。

総務省は、転売ヤーを次のように定義しています。

事業者やその販売代理店が端末の大幅な安値販売を行った際に、こうした安値で販売される端末を取得し、
通信サービスの利用に用いることなく転売することによって利益を得ることを半ば業として行う者」を示す。

言わんとすることはわかりますけどね、そもそも「実行力のある転売ヤー対策の最もたるものが、
高額な違約金や2年縛りだったわけですよ。それを改正電気通信事業法の施行をもって潰したのは、
総務省そのものです。マッチポンプか？自分がやったことを忘れちゃう健忘症のおじいちゃんか？

とは言え、総務省やら官邸主導の値下げ攻勢のおかげで日本の携帯電話料金が世界で一番安くなった、
という統計的事実もありますので、あんまり総務省を無下にすることも出来ませんけどね。
関連記事：自民党・菅義偉元首相のおかげで東京の携帯料金が世界で最安になってしまう。 | 節約速報

ケータイキャリアだけで転売ヤーを潰すのは無理がある。

はてさて、各社はどのような実行力のある転売ヤー対策を実施してくるのでしょうか。
本人確認の厳格化と1人○台まで、直近購入から何ヶ月間は特価では買えない、というのは
既に実施済みとして、携帯キャリアだけで転売ヤー対策をするのは無理があるのでは。
そもそも携帯電話の端末の転売は、法律で禁じられていないですし。

本当に携帯電話の転売を止めさせたいのであれば、メルカリやYahoo!オークションなどの個人売買市場で
転売を禁止できるよう法律を整備し、また水面下で中国人転売屋含む半社的転売ヤーが
暗躍しないように、税務当局と連携した積極的摘発＆監獄送りを実施するしかありません。

そこまでやる気があるのか、というのと、そこまでやらなくてはならないのか（やる価値があるのか）、
他にやることはないのか、通信の技術的要求がポスト5G、6G、7Gと高度化していく中で、
日本の通信業者やメーカーは世界でプレゼンスを掲揚できるのか、そのお膳立てや環境整備を
国家百年の計として実施しているのか、そっちのほうが気になりますよ。

規制ばっかりしてないで、国力が増進し、民間の力が活躍できる、高付加価値な産業を
育成する、雇用も増やすような政策を取ってほしいところ。それは経産省の管轄です、
とか真顔で言いそうだけど。