イオン、パートと正社員を同一給料へ。退職金やボーナスも支給。これは給料が将来増えなさそう。

イオン、パートと正社員を同一給料へ。退職金やボーナスも支給。これは給料が将来増えなさそう。

同一労働同一賃金とはよく叫ばれますが、現実的には評価や責任の所在など含めて
なかなか難しいのが特徴です。ある一部分だけ切り取ってみると同じ仕事をしているように
見えますが、実際には正社員は他の人への指揮命令、監督、教育などを負っている場合があります。

さて、イオンはパートと正社員を同一給料とするそうな。

小売り大手イオングループの中核企業で、総合スーパーを展開するイオンリテールは今月、売り場の責任者を務めるパート社員について、同じ業務に就く正社員との待遇差を完全になくす制度を始めた。基本給や手当から賞与（ボーナス）、退職金に至るまで、1時間あたりの支給額を正社員と同じ水準にそろえる。

（中略）

　月120時間以上働き、「マネージャー」や「リーダー」と呼ばれる店舗の売り場責任者の一部が対象となる。昨秋の昇格試験に合格した42人にまず適用し、今後は年400人規模で増やしていく計画だ。
パートと正社員を完全同待遇に　イオン中核企業、退職金やボーナスも（朝日新聞デジタル） – Yahoo!ニュース

確かに企業側もパートの安い人件費に胡座をかいて、雇用の調整弁として、また人件費削減の
施策として、パートに業務を押し付けてきた、という側面もあるでしょう。

ただ、パートと正社員の給料、退職金、ボーナスが同じになった場合、正社員のメリットが
薄れてくるでしょうね。キャリアパスが違う、雇用規制で守られる程度になってしまうのでしょうか。
でもそれは企業が金払いが良いことが前提ですので、金払いの悪い企業内での
キャリアパスやら出世やら、餌としてぶら下げられても、労働者は特に興味を持たないでしょう。

給料の総枠は決まっている＝売上：

そして、給料の原資（パイ）は決まっています。その企業の売上です。
企業は値上げして、売上を増やしていかないと従業員の給料は上げられません。
これまで大して払っていなかったパートに金払いを良くすると、相対的に割りを食うのは正社員です。

という訳で、パートと正社員の給料は同じになるとは言え、給料の伸び率は今後鈍化するでしょう。
鈍化させないと会社が立ち行かなくなるのは明白ですから。

よって本施策は現場サイドのパートへのガス抜き施策であり、広報目的であり、
現場でパートと同じ仕事しかしていない正社員は今後更に減らすぞ、
逆にそれなりに稼ぎたい優秀な人はうちにパートで来てね、というメッセージでしょう。

まぁそれで会社と社会が回るならば、全く問題ないと思います。
既存の既得権益に胡座をかいた不良社員からは不満不平が聞こえてきそうですけどね。
嫌ならやめろ、そういうことでしょう。