ソニー生命で一番稼いだビットコイン168億円購入全力男、懲役9年の実刑判決へ。

ソニー生命で一番稼いだビットコイン168億円購入全力男、懲役9年の実刑判決へ。

※11/18：懲役9年の実刑判決、東京地裁。

ソニー生命の海外子会社の銀行口座から約168億円を不正に送金し、全額をビットコインに交換し、
隠匿しようとしたところを逮捕されたこの事件、結果として円安とビットコインの評価額が膨らみ、
結果としてソニー生命に+50億円超の221億円の資金が返還されたことが明らかになりました。

50億円多く返還、為替影響で　ソニー生命不正送金事件: 日本経済新聞

さて、このソニー生命の元社員の男性（33）の初公判が開かれ、懲役10年が求刑されています。

　ソニー生命保険の海外子会社から約１６８億円相当の資金を不正に引き出し、暗号資産「ビットコイン」に交換して隠したとして、詐欺罪と組織犯罪処罰法違反（犯罪収益隠匿）に問われたソニー生命元社員石井伶被告（３３）の公判が５日、東京地裁（小林謙介裁判長）であった。検察側は論告で「巨額の資金を詐取して隠した空前絶後の事件だ」と述べ、懲役１０年を求刑。弁護側は情状酌量を求め、結審した。判決は１１月１８日。
ソニー生命１６８億円不正送金、５０億円「利益」…被告「ビットコイン研究した結果」 : 読売新聞オンライン

168億円の詐欺事件で空前絶後か？北朝鮮の平壌放送じゃあるまいし、ちょっと言葉遣いが
適切でないのでは。

さて、弁護側は情状酌量を求めています。

　弁護側は最終弁論でこの経緯を踏まえ「（詐取金を）そのまま自分のものにするつもりはなく、資産を増やして一部を得ようとしただけだ」と主張。返還額が被害額を上回ったのは、被告がビットコインへの投資傾向を研究した結果だとし、「被告の行為でソニー生命が損害を被ったことはない」と強調した。被告は最終意見陳述で「一生をかけて罪を償っていく」と謝罪した。

50億円の利益が出たのは結果論

168億円を盗み取り、全力でビットコインを購入し、結果として益が出ましたけど、
とは言えね、それらは全て結果論ですよ。逆に振れてマイナス50億円だった世界線もありうるわけです。

「そのまま自分のものにするつもりはなく、資産を増やして一部を得ようとしただけ」なーんて白々しい言い訳を
述べていますが、誰だって横領するときは「少し借りるだけ、ちょっと増やして元本を返せばバレない」
という出来心から始まるんですよ。

という訳で、これで情状酌量が認められたら悪しき前例になりますし、罪刑法定主義に反する気がします。

ビットコインとドル円チャート

ちなみにこの事件、2021年頃に168億円が不正に送金されて全額ビットコインに交換され、
12月に米当局が押収し、返還されたのは今年8月とのこと。

ビットコインチャート

2021年5月頃は、上旬は高値が600万円、5月末の底値が400万円となっています。
米当局が押収した2021年12月頃は600万前後で、そこからジリジリと値段を下げています。
正確にいくらで買って売られたのかは不明。
特にビットコインを当局が米ドルに戻した時期が不明です。

ドル円チャート

一方で円相場は2022年1月2日は115円、そこから8月末には135円程度に。
概ね17％の変異が起きていますので、168億円*1.17＝196億円となります。
という訳で、差益50億円のうち、28億円が為替差益、残りはいつ売られたかわかりませんが、
ビットコインの評価益でしょうか。

さて、ソニー生命がぬれ手で粟？で手に入れた50億円ですが、ソニー生命は犯罪防止などのための寄付を
検討するとのこと。益が出ていますので課税対象ですし、税金は払ってもらった上で、
まずは社内の再発防止体制の強化やコンプライアンス対策を実施したほうがいいかも。

ソニー生命の契約者からすると、そんな危ない金の管理をしている会社に、
自分の金は預けたくないでしょうしね。信用回復が求められます。