外国人に仕事を奪われたわけでも治安が悪化したわけでもないのに「参政党」「日本人ファースト」がウケた深刻な理由。

外国人に仕事を奪われたわけでも治安が悪化したわけでもないのに「参政党」「日本人ファースト」がウケた深刻な理由。

2025夏の参院選では参政党が国会議員18人を擁する政党に躍進するという、一昔前では考えられなかった事態と
なっていますが、なぜ大衆に「参政党」「日本人ファースト」がウケたのでしょうか。
プレジデントオンラインが記事にしています。

■本当に「外国人に職を奪われている」のか

　実際今の日本で、なぜこんなに「日本人ファースト」という言葉が、参政党の支持者たちの間で受けたかは、ある意味謎だ。移民の多い国でよくあるように、外国人労働者に仕事やビジネスの機会を奪われて、困っている人がたくさんいるような状況ではないからだ。むしろ人手不足にあえぐ建設業やサービス業、農業などの分野で、外国人労働者は重宝がられている面が強い。

（中略）

■在留外国人の検挙人数はマイナス傾向

　また複数の参政党候補が街頭演説で、「中国人留学生には1000万円が給付されているのに、日本人学生は奨学金を借りて返済しなければならない」などと語ったが、毎日新聞によると、これもミスリードだったという。博士後期課程に進む学生を増やすために始まった「次世代研究者挑戦的研究プログラム」(SPRING)のことだが、受給者の6割を占めているのは日本人だ。4割は外国人だが、既に参院選前の6月、2026年度以降の生活費の支給は日本人に限る方向で見直すことが決まっている(これに対しては反対の声も上がっている)。生活保護世帯の3分の1が外国人だという話も3月ごろからSNSで流れていたが、実際には3％に満たず、誤りだった。

　NHKも、過去30年で外国人の人口が3倍になっているのに、外国人刑法犯の検挙人数は当時より大きく減っていることや、日本人と比べて、外国人に凶悪犯が多かったり不起訴率が高かったりということはない、と報じている。不法残留者も20年前に比べて4分の1に減っており、近年は横ばいだという。外国人の流入が日本人の賃金や雇用に影響しているという明確な根拠はない、という専門家の見方も紹介している。

（中略）

つまり現在のところ、在留外国人に関して日本でそれほど目立った問題は起きていない。

（中略）
　政治家は根本的な策を講じず、国民は労働者として直接行動しない。もしこうした現実が、「日本人ファースト」という煙幕の中に隠されているとしたら、槍玉に挙げられ、ヘイトの対象にされかねない外国人にとっては、迷惑千万な話だ。もし外国人には選挙権がないし、社会の中で弱い立場なので怖くないと思っていたとしたら、その狡猾な姿は海外から批判を浴び、日本のイメージも国際的地位もどんどん悪化していくだろう。
外国人に仕事を奪われたわけでも治安が悪化したわけでもないのに…「日本人ファースト」がウケた深刻な理由（プレジデントオンライン） – Yahoo!ニュース

そして生活が厳しく、将来に強い不安を抱くフワフワした大衆をうまくキャッチして「参政党」「日本人ファースト」がウケた、
とのこと。いい感じに読者層をバカにしていますね。いいのでしょうか。

数字をうまく切り取ると、日本で在留外国人による大した問題は起きていないというストーリーも出来ますが、
意思を持って数字を切り取ると、別のストーリーを組み立てられそうです。
特定の国だけ異常に検挙率や数が多かったり、生活保護数が多かったりしそうです。

外国人労働者が重宝がられているのと、外国人に職を奪われるは両立しますし、
外国人生活保護世帯が全体の3％という数字は、意図的に絶対数、そして在留外国人の世帯数とその割合を
省略されていますし。

外国人による犯罪の動向：

令和６年版 犯罪白書 第4編/第9章/第2節/1

外国人による刑法犯の検挙件数は、平成17年（4万3,622件）をピークに18年からは減少傾向にあったが、令和5年は前年より2,594件増加し、1万5,541件（前年比20.0％増）であった。また、外国人による刑法犯の検挙人員は、平成11年から増加し、17年に1万4,786人を記録した後、18年からは減少傾向にあったが、令和5年は前年より増加し、9,726人（同11.8％増）であった（4-9-2-1図CD-ROM参照）。同年における刑法犯検挙人員総数（18万3,269人）に占める外国人の比率は、5.3％であった（警察庁の統計による。）。
令和６年版 犯罪白書 第4編/第9章/第2節/1

外国人による犯罪の動向として、平成18年以降は減少傾向にあったそうですが、令和5年度辺りから増加し、
トレンドの転換を迎えたかも。令和7年度版の犯罪白書が出ると、明らかになるでしょう。

令和７年１～６月犯罪統計はこちら。
犯罪統計 令和７年１～６月犯罪統計 2025年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

結局、参政党も含めてどいつもこいつも発信する数字を意図を持って切り取っているので、
それを額面通りに受け取るとミスリードしがちです。

自分で数字を確認し、自分で考えるしかなさそう。考察を他人に頼っていると、ろくなことにならず、
他人にいいように利用されるだけとなりますので。

個人的には、「内部留保をため込んでいる企業への法人税増税」なんて言っている人の話は、
話半分に聞いておこうと思っています。