国民民主党「金融所得課税30％」、ひろゆき氏「働かないで勝手にお金が入る人の税率が低いのはおかしい」。

国民民主党「金融所得課税30％」、ひろゆき氏「働かないで勝手にお金が入る人の税率が低いのはおかしい」。

1億円の壁とは：
1億円以上の所得がある人は、給与所得よりも 金融所得（株式売却益・配当など） の割合が増えます。
この金融所得には、分離課税 が適用され、約20%（所得税15%＋住民税5%）の税率がかかります。
一方、給与所得者の所得税は 累進課税 で、最大45%（住民税を含めると55%）にもなります。
そのため、年収が1億円を超えると、給与所得よりも低い税率の金融所得の割合が増え、
全体の税負担率が下がる という逆転現象が発生します。

さて、国民民主党は金融所得課税を現行の20％から30％に増税しようとする姿勢に対して、
ひろゆき氏も賛同しています。

今回、国民民主党が検討しているのは、この1億円の壁を超える富裕層をメインとしたもので、玉木氏は「我々は手取りを増やす、手元に残るお金を増やしたいと訴えている。手元に残るお金を増やして投資に回したり、老後の資産形成をすることを応援している。資産形成を阻害するようなことは絶対にやらないと明言したい」と述べた。

　ひろゆき氏は、ベースとして金融所得と労働所得、2つを合わせた総合所得にすべきだという。「例えば（株の）配当で2000万円もらっていますという人が、今は（税率）20％払えば済んでいる。でも1年間、労働で2000万円稼いだ人だと50％。働いた方がすごく税金を払って、働かないでも勝手にお金が入っている人の税率が安いのはおかしい。全部、総合課税にしてしまえばいい」とした。
国民民主党「金融所得課税30％」案 ひろゆき氏「ほとんどの人は関係ない話」「金持ちには課税してちゃんと取るべき。若者や労働者の負担が大きくなる」（ABEMA TIMES） – Yahoo!ニュース

あれ？ひろゆき氏ってこういうこと言うのでしたっけ・・・
てっきり「日本の労働は労道。自分の時間を切り売りして小銭を稼ぐマゾゲーです。
早く資本階級の仲間入りをしたほうがいい。なぜなら税率が低いから。これが分からない人は馬鹿です。」
と言うかと思っていました。

金持ちは逃げやすい：

さて、所得の再分配の名の下に、金融所得課税の強化を打ち出す国民民主党ですが、
止めたほうがいいでしょうね。なぜなら、金融所得を多く貰うような層は、別に日本にこだわらない訳です。

たまたま日本に生まれて財を成して、この国が好きで日本に税金を払うパターンが多いかと思いますが、
これが10％も増税されるようならば話は別です。いわゆる富裕層は、喜んで海外に飛び出していくでしょう。
だって別に働いてなくて所得の大半が貰えるのだから、この国にこだわる必要はありません。

たまに日本に返ってくる程度で、居住実態を海外に移して減税を図る、という人も出てくるでしょう。
少なくとも金融所得課税の強化が現実味を帯びていれば、一度は検討するでしょう。
既に2025年1月よりおおむね年間30億円超の所得がある超富裕層に対し、金融所得課税（別名：富裕層ミニマム税）が
追加されているので、検討した人もいるでしょうね。富裕層向けに「こんな国捨てて海外に生きませんか？
〇〇国ならば政治も安定、気候も温暖、物価は高いけど節税で益が出て、1年のうち〇〇日は日本に帰ってきても
OKですよ」などとアドバイザリーサービスを提供する業者も増えてくるでしょう。

そもそも論、課税出来るのか：

そもそも含み益に課税はされない（はず）なので、売買しなくては課税されません。
数年～十数年に1回、売却益を得るときだけ租税国を変更するために海外移住する民が出てくるかも。
そうすると国税庁がルールを変更して、課税を強化し、結局は真面目に納税している人が損をする
いつものパターンです。

大体、総合課税とするならば損を出たら他の所得と損益通算が出来ないと筋が通らないのですが、
それは許されるのか。「金持ちの投資の損を税金で補填するのか」などと意味のわからない論調が
Xで叫ばれそう。

労働者は逃げられない：

一方、困るのは労働者。なぜなら物理的に日本で働いているので、逃げようがありません。
最初は増税のターゲットは「1億円の壁を超える富裕層をメインとしたもので庶民は関係ない」として
導入されると、段々となし崩し的にしきい値が下がってきて、次は8000万、次は5000万、次は全員課税だな、
といつの間にか3割課税が基準になりそう。だって少子高齢化社会の解決策は見えず、
社会保障費などの負担減は起こりそうもないのだから。

国民民主党のみならず、政党には「取れるところから取る負担増」ではなく「減税を基調とした成長戦略」を
ぶち上げほしいところ。これからますます苦しくなりますよ、と言われて頑張って労働をしたり、資本を貯め込んだり、
リスクを取って投資する人が増えるわけないでしょう。