クレカ乞食の経済学。陸マイラーがクレジットカードで貯めるマイルは本当にお得か。
よく居酒屋なんかで他人に決済をお願いした時に、他人がクレジットカードを取り出して決済しようとすると、
乞食魂が発動してついつい何のカードを使っているのか気になりますよね。
で、大体イイところにお勤めの人は航空会社系ゴールドカードをドヤ顔で使っていて、
「これめっちゃマイル貯まってお得なんだぜー」とか教えてくれたりします。
さて、彼らように、陸でマイルを貯めるという行為、つまり「陸マイラー」と呼ばれる、
クレジットカードでマイルを貯める行為は本当に経済的合理性があるのか、検証してみます。
前提条件:
自分の支払いや会社の支払い、それに加えて飲み会も積極的に開いて幹事を行い、
代金を徴収してまとめてクレジットカードで支払い、貰った現金は即時にATMに突っ込むという、
「アクティブな乞食」さん。月10万円の支払いとします。
一方、そんなに飲み会などは積極的ではないですが、買い物は全てクレジットカード、
公共料金支払いももちろんクレジットカードの支払いな「スロー乞食」さん。月5万円の支払いとします。
上記2名の乞食ライフを前提条件として置いてみます。
航空会社系クレジットカードの還元率とは:
一番利用者の多い、「VISA ANA 一般カード」を基準にして考えます。
年会費:2160円
※WEB明細書サービス+マイペイすリボ登録で810円。
マイル移行手数料:
・5マイルコース:1000円につき1ポイント=5マイル(移行手数料:無料)
・10マイルコース:1000円につき1ポイント=10マイル(移行手数料:年間6480円)
ポイント付与率:
・基本ポイント:1000円=1ポイント=5または10マイル。
・「マイ・ペイすリボ」払い、で毎月支払額を調整し、金利を毎月20円ぐらい発生させてボーナスポイントをもらうと、
1000円=1ボーナスポイント=3マイル。
という条件から、還元率を計算していきます。
まず、月10万、年120万円という金額をベースに、上記にある通り「マイ・ペイすリボ」登録後、
毎月支払額を調整し、金利を発生させてボーナスポイントをもらうという乞食行為を行う場合を想定します。
基本ポイント:
1200000/1000=1200ポイント、10マイルコースで12000マイル。
ボーナスポイント:
1200000/1000=1200ボーナスポイント、ボーナスポイントは1ポイント=3マイルなので、3600マイル。
更に年一回の更新1000マイル。
つまり合計16600マイル。
続いて支出は:
年会費810円、マイル移行手数料6480円、合計7290円。これとは別に請求額が120万円です。
※リボ払いの金利は、毎月10-20円ですので、年会費を1000円とすることで近似します。
よってまとめますと、
アクティブ乞食 マイペイす活用(年120万円決済、10マイルコース):
イン:年16600マイル アウト:1207480円の支出。
さて一方、スロー乞食さんの月5万円の支払いの場合はどうでしょうか。
月5万円で年60万円の支払いですので、
基本ポイント:600ポイント=3000マイル(無料コース)、ボーナスポイント:600ポイント=1800マイル、
更新マイルで1000マイル。合計5800マイル。
スロー乞食 マイペイす活用(年60万円決済、5マイルコース):
イン:年5800マイル アウト:601000円の支出(年60万円決済、5マイルコース)
となります。
ついでに、マイペイすを活用しない乞食を想定しておきます。マイペイすで毎月支払い額の調整とか、
面倒くさくて現実的じゃねーよ、という人はこちら。
アクティブ乞食 通常(年120万円決済、10マイルコース):
イン:年13000マイル アウト:1207480円の支出。
スロー乞食 通常(年60万円決済、5マイルコース):
イン:年4000マイル アウト:1207480円の支出。
貰えるマイル表はこちら。
アクティブ乞食 年120万円 |
スロー乞食 年60万円 |
|
VISA ANA VISA 一般カード ※「マイ・ペイすリボ」活用 |
16600マイル | 5800マイル |
VISA ANA VISA 一般カード ※マイペイすリボまではやらない |
13000マイル | 4000マイル |
1ANAマイルの価値とは:
1ANAマイルの価値は諸説あり、それぞれひとによって違う・・・というのが正解なのですが、
それでは議論が進みませんので、一番ありそうなケースを想定して計算していきます。
・10,000マイル⇒10,000円分のEdy、nanaco、楽天ポイント、Tポイント、iDバリュー、TOKYUポイントなどに
返還できますので、1マイル=1円以上の価値は確約できます。
・航空券を買う際に使えるANAコインですが、1コイン=1円として支払い可能です。
10000マイル=12000コイン、2万マイル=26000コインに変換できますので、1マイル=1.2~1.3円ぐらいの価値が
あると感じる人も多いかと。
・特典航空券に変換する、これが一番マイルの価値が高くなります。
ところがこの特典航空券、まずハイシーズンと呼ばれる正月やGWやお盆は利用できません。
シーズン・必要マイルチャート│ANA国内線特典航空券│マイルを使う│ANAマイレージクラブ
そもそも予約しづらい、一度予約すると搭乗者および区間の変更は出来ない、発着が同一空港じゃないとダメ、
など制限が多すぎるのです。一番つらいのは、座席数が決まっていて予約しづらいことでしょうか。
ありがちな、お盆シーズンに東京-大阪を往復することを考えましょう。
2015/8/12羽田発で片道15000円程度、2015/8/14大阪発で片道15000円程度で合計3万円となります。
これに必要なマイルは15000マイルですので、1マイル=2円となります。
これが、東京~那覇往復ですと、往復7万円程度ですので、1マイル5円となります。
これで、最低でも1マイル=1円から、最大で2円~5円となる根拠が出来ました。
そもそもスカイマークやLCC使えば安いやん:
ですが、そもそもスカイマークやLCCを使えば、そんな予約しづらい・変更しづらい、
定価がバカ高いANA・JALのナショナル・フラッグ・キャリアに乗る必要はありません。
スカイマークで羽田~神戸往復は2.4万円、羽田~那覇往復は5万円程度となります。
LCCのジェットスターやピーチを使うと、繁忙期でも成田~大阪往復が18000円程度、
成田~那覇往復は5万円程度になります。LCCの登場により、マイルの価値は大きく毀損されたと言ってもいいでしょう。
さらに、LCCの登場により、ANA・JALの料金体系がより複雑になり、前もって予約すればより安くなる可能性が
増えていることを考慮しなければいけません。
よって、1マイル=1.6円と仮置きします。根拠:1マイル2円程度までは達成できる。
コインに変えても1マイル1.2円は固い。よって間を取って1.6円とする。というザックリな計算です。
還元率表
アクティブ乞食 年120万円 |
スロー乞食 年60万円 |
|
VISA ANA VISA 一般カード ※「マイ・ペイすリボ」活用 |
16600マイル =2.2% |
5800マイル =1.5% |
VISA ANA VISA 一般カード ※マイペイすリボまではやらない |
13000マイル =1.7% |
4000マイル =1.1% |
漢方スタイルクラブカードの還元率:
さて、対抗馬の漢方スタイルクラブカードの還元率は1.75%となっています。
実際には年会費1620円が必要なため、
月10万円、年120万円決済でイン:21000円キャッシュバック、 アウト:1201620円、
還元率は1.747%
月5万、年60万決済でイン:10500円キャッシュバック、アウト:601620円、
還元率は1.745%
実際には定期的に2%還元キャンペーンが開催されるので、還元率は1.75%と近似しても問題ないでしょう。
また、漢方スタイルクラブカードは、ANAマイルコースが用意されており、2000円利用=ANA21マイル=33.6円、
つまり還元率1.68%を達成することも可能です。
結論:飛行機にのる人はANAマイルを貯めるべし、そんなに乗らない人は漢方スタイルクラブカードでよし。
漢方スタイルクラブカードは等しく1.75%とし、1マイル=1.6円とした還元率表は下記の通り。
アクティブ乞食 年120万円 |
スロー乞食 年60万円 |
|
VISA ANA VISA 一般カード ※「マイ・ペイすリボ」活用 |
16600マイル =2.2% |
5800マイル =1.5% |
VISA ANA VISA 一般カード ※マイペイすリボまではやらない |
13000マイル =1.7% |
4000マイル =1.1% |
漢方スタイルクラブカード | 1.75% | 1.75% |
よって、飛行機に積極的に乗り、アクティブな乞食ライフをエンジョイできる人(こういう人は旅行も好きそう)は、
ANAカードでマイルを貯めるのがやはり正解でした。
ただし、そんなに飛行機に乗らない人、月10万円もクレジットカードを使えない人、
漢方スタイルクラブカードの現金キャッシュバックを貰い、航空券はそのお金で買う人は、
漢方スタイルクラブカードでいいかも知れません。
なにより、LCCが使いやすい成田近辺に住んでいる人は、相対的にANA/JALマイルの価値が下がるため、
漢方スタイルクラブカードを選ぶべきですね。
上記設定には、「VISA ANA 一般カード」において、「マイ・ペイすリボ」登録後、毎月リボの支払額が1000円以下に
なるように繰り上げ返済や減額にて調整し、金利を発生させてボーナスポイントをもらう、緻密な乞食行為を行うという、
クレジットカードオタク的な要素が必要です。
アクティブ乞食≒比較的リア充さんと相反する性格を持っている必要があります。
そうでない人は、漢方スタイルクラブカードを使ったほうが、悩みが少なくて済むかもしれませんね。
本記事が、ご自分のライフラークを考えつつ、今お手持ちのカードを少し考えなおしてみるきっかけになると幸いです。